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悩み相談室 発達障害とは何ですか?【『発達障害者支援法』編】

悩み相談室 発達障害の人が守られる「発達障害者支援法」とはなんでしょうか?内容はどんなもの?

発達障害者の早期発見、支援を目的にした法律で、定義や支援の基本理念、具体的な支援制度について定められ、2005年施行されました。

さらに2007年には「特別支援教育」が学校基本法に位置付けられ、全学校で障害のある児童生徒の充実した支援に向けて動き出しました。

それまで発達障害者への支援を定めた法律や定義もない為、知的障害を伴わない発達障害者は、法制度の狭間で取り残され現実には教育現場や就労等、様々な場面で支援を受けられず困難を抱え、二次障害等の深刻な状況になっている人達もありました。

そんな状況が長期に渡っていたが、この法律で、自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、LD、トゥレット症候群、吃音などが「発達障害」と総称され、個人に応じた支援を行うことが国や自治体、そして国民の責務として定められました。

法の成立で「発達障害」という概念の啓発がなされました。定められた内容や目的は3点です。

法の成立で「発達障害」という概念が啓発され、支援やケアが必要という認識が社会に広まるきっかけになった。障害者に関わる制度の根幹を定める「障害者基本法」や、それぞれの支援サービスのあり方を定める「障害者総合支援法」なども発達障害を対象に含むことを明確にする改正が行われ、発達障害者が自立した生活を送れるように法律の整備が進められました。

法で定められている内容や目的は、

①発達障害の定義と理解の促進

②自立・社会参加のための生活全般にわたる支援の促進

③支援を担当する部局相互の緊密な連携の確保、関係機関との協力体制の整備

の以上3点です。

さらに2016年に法改正され、

①発達障害の定義

②支援を行うにあたっての基本理念

③早期発見と早期の発達支援

④ライフステージに応じた切れ目のない支援

⑤国や地方公共団体、国民の責務

⑥具体的な支援制度

⑦司法手続における配慮

⑧発達障害者支援センターの設置と運営等

が定められ、理念と現実の支援体制の両面で強化されました。

第二条では、「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものと定義されました。

「その他」とされている障害・疾患については、厚生労働省の省令で定められ、吃音や、トゥレット症候群(運動性チックと音声チックが1年以上続く症状)、選択性緘黙が含まれるとされています。 

さらに障害は「個人の問題」ではなく「社会の問題」であるということが明記され、この改正で、発達障害者支援法の基本理念として「社会的障壁の除去」という文言が追加されました。

発達障害のある人が社会生活を営む上で直面する不利益は、本人ではなく社会の責任だという考えが明確に示され、これによって障害とは、個人の心身、機能の障害によるものであるというかつての「医学モデル」ではなく、「障害は個人ではなく社会の方にある」と捉える「社会モデル」という考え方に準拠するようになりました。

継続的な支援が必要な為、法律の中で発達障害の早期発見と共に、「切れ目のない支援」を行うことが明記されました。

小学校・中学校・高校~職場など縦割りの中で支援を行うだけでなく、情報を共有し継続的な支援を行っていくことが「切れ目のない支援」です。

進学や就職など、ライフステージが変化するごとにそれまでしてきた支援が失われたり、発達障害を抱える人が不利益を被ったりすることがないよう、自治体や教育機関が情報共有を行っていくことが定められています。

またこの法により、各都道府県と指定都市(人口50万人以上の都市)には、発達障害者への総合的な支援を地域が行う「発達障害者支援センター」の設置が義務付けられました。

発達障害者支援センターは、各関係機関と連携し、地域全体で発達障害者を支援する体制づくりの中心的役割を果たしています。

発達障害の診断がある人だけでなく、発達障害の可能性があるかなどの相談もでき、発達障害当事者及びその家族や関係者が可能な限り必要な支援を受けられるようになりました。

近年まで法制度の狭間で支援が受けにくかった発達障害者にとって、発達障害者支援法は、重要な拠り所となる法律です。

この法律の施行以降、発達障害に関わる支援制度は整備されつつあり、相談へのハードルも低くなりました。

支援体制に地域差があるなど、発達障害者への支援制度には今尚課題があるが、様々な困りを抱えた人からの相談が増えることで、それらに対応した多様な支援方法も増加すると考えます。

その積み重ねが、障壁の小さい社会をより創造されるようになると望みます。

参考文献

文部科学省HP「特別支援教育について」

厚生労働省「厚生労働省令第八十一号・令百五十号」

厚生労働省「平成30年版障害者白書」

厚生労働省・文部科学省連名事務次官通知17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号

花風社「発達障害は治りますか?」神田橋條治著

e-Gov「発達障害者支援法」

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