悩み相談室 発達障害と言われましたが、何でしょうか?
こんにちは、臨床心理士・公認心理師の織田マドカです。今日は、「発達障害とは何ですか?」の第2段【概論編】です。
発達障害は、脳の機能に定型発達児との違いがある為、多数派の育児ではうまくいかず成長に伴い、自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じ不適応反応を表現することがあります。
しかし、発達障害は認知特性を本人や周囲が理解し、個々にあった支援で日常生活や学校、職場等での過ごし方を工夫すると(障害者雇用促進法や障害者差別解消法の施行後、合理的配慮提供義務が明文化)、本来の力が生かされることが多いです。
発達障害は、大きく3つの特性タイプで分類され、①精神遅滞(MR)②広汎性発達障害といわれる、自閉症、自閉スペクトラム症(ASD)、レット症候群、小児期崩壊性障害、非定型自閉症③特異的発達障害といわれる学習障害(LD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、吃音等のコミュニケーション障害、協調運動障害が「発達障害」と総称されました。
1人がいくつかのタイプの重なりがある事も少なくない。ので、障害名があっても個人差が大きい点が、個々の行動観察等での見立てが重要です。
多様な環境調整が必要なのが「発達障害」の特徴といえます。
自閉症スペクトラム障害(ASD)とは
DSM-5においてASDは、かつてICD₋10やDSM-4で用いられていた広汎性発達障害とほぼ同じ群を指し、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害、小児期崩壊性障害等が含まれます。
スペクトラムは「連続体」の意味で、相互的な対人関係の障害、コミュニケーション障害、興味や行動のこだわりの3つの特徴があります。
注意欠如多動性障害(ADHD)とは
発達年齢に見合わない多動性‐衝動性、不注意、またはその両症状が、7歳までに出現することが多く、教師等の規制がかかる場面で目立ちます。
学童期は3〜7%存在し、男性の有病率は青年期には低下するが、女性の有病率は年齢を重ねても変化しないとの報告があり、ADHDのHyper(衝動性)がなく不注意だけが目立つADDも見受けられます。
何よりも怒られてしまうことが多く、まずは「自尊感の低下を防ぐ」ということが、とても大切です。
人間関係能力を向上させる療育の一つ、ソーシャルスキルトレーニング(SST)やライフスキルトレーニング(LST)という生活能力を上げるトレーニング、親が子どもへの対応を学ぶペアレントトレーニングなどが有効です。
これについては先日ブログで取り上げた【対応編】をご参照ください。
学習障害(LD)とは
全体の知的発達は定型発達と変わりなく、
読む、書く、聞く、話す、推論する、計算する等、6つの事柄のいずれかが困難状態を示します。
確認方法にもよるが2〜10%の出現率といわれ、読字困難については、男性が女性より多いと報告されています。
こちらも対応については、【対応編】をご参照ください。
誤診も多いのが現実。薬があまり効かない場合は注意❗️発達障害は、環境調整での対応が90%必要です。基本Dr.は発達障害を知りません
お医者様は、基本的にはよほどの専門医でない限り発達障害のことをご存知ないと思っておいたほうがいいかもしれません。
(これは私の師匠たちが医師であり、実際に小児科医の先生も医師になる時の教育の仕方での根拠を持って説明なさっています)
私たち臨床心理士・公認心理師も専門で何が得意なのかによりわかっていない人も少なくないです。
私も大学院修了時にはあまり知りませんでしたが、教育委員会で3年間「支援教育専門総括相談員」として毎日専門のDrと共に毎年200人の発達障害の子どもたちや親御さんと接して理解したことがほとんどです。
そして放課後等デイサービスの起業をしたり、公的機関での乳幼児検診後の療育に携わったり、多数の学校に関わることでわかってきたことも多いです。
今回取り上げた発達課題の一つだけがある人はむしろ少なく、自閉症スペクトラムの過敏さが理解してもらえず環境調整ができていないためにまるでADHDのような症状が出ており受診をしてもADHDの診断がついていることなども少なくないです。
臨床例をたくさん経験している医師や心理士を求めて相談にまずは行ってください。
その時にポイントは診断名を告げるだけのDrはダメです。 具体的に対応をしっかりと教えてくれる人が最良ですのでなんでも気軽に話せる支援者を探し続けて下さい。
明日は【発達障害者支援法】についてお伝えします。
参考文献
文部科学省HP「特別支援教育について」
厚生労働省「厚生労働省令第八十一号・令百五十号」
厚生労働省「平成30年版障害者白書」
厚生労働省・文部科学省連名事務次官通知17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号
花風社「発達障害は治りますか?」神田橋條治著
e-Gov「発達障害者支援法」
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